致死率75%!?アジア圏で警戒が広がる「ニパウイルス」
2025年9月8日、韓国が致死率最大75%にも達するニパウイルス感染症を「第1級法定感染症」と「検疫感染症」に指定したことが注目されています。この措置は新型コロナウイルス以来5年ぶりです。
本記事では、アジア圏で拡大が警戒されるニパウイルスについて正しい知識をお伝えし、適切な予防策をご紹介します!
ニパウイルスとは?現在の状況
ニパウイルスは1998年から1999年にかけてマレーシアのスンガイ・ニパ村で初めて確認された人獣共通感染症ウイルスで、オオコウモリから動物や人間に感染します。
WHOはニパウイルスについて、致死率が40%から75%と推定される極めて危険なウイルスとしていて、これまで多数の感染者並びに死者が報告されており、WHOが提唱する「優先すべき疾患のブループリントリスト」に含まれています。
現在のところ、アジア地域では主に東南アジア諸国で散発的な発生が確認されていますが、大規模な拡大は報告されていません。
参考文献
Prioritizing diseases for research and development in emergency contexts
ニパウイルス感染症|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
感染源と感染経路
ニパウイルスの自然宿主はオオコウモリです。
感染は主に感染動物(豚など)の気道分泌物などの体液を介してヒトに広がり、コウモリの唾液や尿で汚染された果物を食べることや、生のナツメヤシの樹液を飲むことでも感染する可能性があります。
またバングラデシュやインドでは、感染者との密接な接触により、ヒトからヒトへ直接感染することも確認されています。
ニパウイルスに感染した場合の症状例
| 段階 | 症状 |
|---|---|
| 初期症状 | 発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、咽頭痛など |
| 進行期 | めまい、眠気、意識変容、神経症状など |
| 重症期 | 脳炎、発作、昏睡状態など |
| 後遺症 | 神経学的障害、人格変化、遅発性脳炎など |
ニパウイルスの治療方法
現在、ニパウイルス感染症に対する特効薬や有効な治療法はありません。
治療は主に対症療法で、感染者の症状に応じた支持療法が行われます。
抗ウイルス薬リバビリンが用いられることがありますが、その治療効果については評価が定まっていません。
実験的なモノクローナル抗体が開発されており、コンパッショネート使用(例外的に国内で未承認薬の人道的に使用すること)が認められていますが、まだ実験段階です。
感染予防策
| 予防項目 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 動物との接触 | • 病気の動物に不用意に近づかない • 豚や家畜との直接接触を避ける • 動物を扱う際は手袋・保護服を着用 |
| 食品の安全 | • 果物はきちんと洗ってから食べる • 地面に落ちた果物は摂取しない • 生のナツメヤシジュースの摂取を避ける • 十分に加熱された食事を選ぶ |
| 基本的な衛生対策 | • 手洗いの徹底 • 感染者との密接な接触を避ける • 医療機関受診時はマスク着用 |
各国での法的扱いと韓国指定の経緯
韓国では実際の感染者は報告されていませんが、東南アジア地域での散発的発生と活発な人的交流を踏まえ、将来のリスクに備えた予防的措置として2025年9月にニパウイルス感染症を第1級法定感染症に指定しました。
疾病管理庁は「診断方法も開発でき、もしものときにより積極的に予防するため」とその理由を説明しており、診断を受けた患者や疑い患者は届出・隔離措置・接触者管理・疫学調査など公衆衛生管理の対象になります。
日本では感染症法により4類感染症に指定されており、これまで日本国内での自然発生・海外からの輸入症例は報告されていません。
東南アジア諸国では各国が監視体制を強化しており、WHOと連携した対策が継続されています。
まとめ
ニパウイルス感染症は致死率が高く、有効な治療法やワクチンが存在しない感染症ですが、適切な予防策を講じることで感染リスクを大幅に減らすことができます。海外との交流が活発化する中、特に東南アジア地域への渡航時には特に注意を払うことをお勧めします。発熱や頭痛などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、渡航歴を必ず伝えましょう。



