睡眠薬と便秘の関係性について徹底解説!なぜ不眠と便秘が起こるの?

睡眠薬と便秘の関係性について徹底解説!なぜ不眠と便秘が起こるの?現代の生活は多忙でストレスフルなことが多く、多くの人々が不眠に悩んでいます。
このため、睡眠薬を利用するケースが増加しています。
しかし、睡眠薬の使用が便秘の原因になることをご存知でしょうか?
この記事では睡眠薬と便秘の関係やそれぞれの改善方法について詳しく解説します。

 

睡眠薬と便秘の関係(なぜ)

便秘
睡眠薬は不眠症を治療するための薬剤であり、主に中枢神経に作用して睡眠を促す効果があります。
しかし、その副作用として腸の働きに影響を及ぼすことがあります。
腸の運動が低下することで便が腸内に長く留まり、便秘を引き起こすわけです。
便秘が慢性化すると腸内環境が悪化し、健康問題を引き起こす可能性があるため、睡眠薬の使用する場合は便秘には注意が必要です。

 

不眠も便秘につながる?

不眠症不眠症は心身のストレスや生活習慣の乱れにより引き起こされることが多いです。
そして、こうした不眠が続くことによって自律神経が乱れ便秘のリスクも高まることが明らかになっています。

 

不眠の原因とは?

ではそんな不眠は一体どのようなことが原因となって起きるのでしょうか?
ここからは不眠の原因やそれぞれの原因がどのように便秘に影響するのかについて紹介します。

 

睡眠リズムが乱れる

現代のライフスタイルでは、仕事や家庭の事情から夜更かしをしたり、睡眠時間が不規則になることがよくあります。
睡眠リズムが乱れると体内時計が正常に機能しなくなり、消化器官の働きにも影響を与えます。
特に、睡眠不足の状態が続くと自律神経のバランスが崩れ、腸の動きが鈍くなりがちです。

 

腸内環境の悪化によりメラトニンが不足する

腸内環境が悪化すると睡眠ホルモンであるメラトニンの生成が減少します。
メラトニンは夜の時間帯に分泌されることで、自然な睡眠を促進する役割を果たしています。
腸内環境が悪化することでメラトニンの分泌が減少して、自然な睡眠の促進が起きずに不眠に発展したり、不眠の場合は悪化してしまいます。
これがさらに便秘を引き起こす原因となるのです。

 

自律神経の乱れ

自律神経は、体内の様々な機能を調整する重要な役割を果たしています。
ストレスや不規則な生活習慣が、自律神経のバランスを崩すと消化器官の働きが悪くなり便秘を引き起こします。
自律神経の乱れは睡眠の質を低下させるだけでなく、腸の蠕動運動にも影響を及ぼします。

 

栄養の不足

鉄分、ビタミンB群、トリプトファン、マグネシウムなどの不足は、睡眠を誘発するメラトニンの合成を妨げ、睡眠の質を低下させ不眠を招く可能性があります。
特に、月経のある女子は鉄欠乏症とビタミンB群の不足を合併していることが多いため、睡眠が浅くなりやすいので注意しましょう。

 

不眠・便秘に共通した原因の改善方法

不眠と便秘は共通の原因を持っているため、同時に改善することが可能です。
以下の方法を取り入れることで、健康的な生活を取り戻しましょう。

 

腸内環境を整える方法

腸内環境を整えることで、便秘だけでなく不眠の改善にもつながります。

 

食生活の改善により善玉菌を活性化させる

腸内環境を改善するためには、食生活の見直しが重要です。
食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻、キノコと発酵食品(ヨーグルトや納豆など)を積極的に摂取しましょう。
これにより、腸内の善玉菌が増えて腸の働きが改善されるとともに、便秘の解消にもつながります。
特に、発酵食品は腸内フローラを整えるために非常に効果的です。
乳酸菌を含むヨーグルトや、腸内環境を整える効果が期待できる納豆、味噌、キムチなどを毎日の食事に取り入れると良いでしょう。

 

適度な運動・マッサージで腸を刺激する

適度な運動や腹部マッサージは腸の動きを活発にします。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は腸の蠕動運動を促進し、便秘を防ぐのに効果的です。
特に、腹筋や体幹を使う運動は腹圧を高め腸の働きをサポートします。
また、腹部マッサージは腸を直接刺激して便秘解消に寄与します。
具体的には、以下の手順で腹部をマッサージすると良いでしょう。

リラックスした状態で行う

マッサージ前に深呼吸をして、体をリラックスさせましょう。

おへその周りを優しくマッサージする

おへそを中心に、時計回りに優しくマッサージします。

肋骨の下からおへそへ

肋骨の下の部分からおへそにかけて、やさしく押し上げるようにマッサージします。

このマッサージは、腸を刺激するだけでなく、リラックス効果もあるため、ストレスの軽減にもつながります。

 

自律神経を整える方法

自律神経のバランスを整えることも重要です。

 

ぬるま湯に浸かる

お風呂に入ることで心身ともにリラックスして自律神経を整える効果があります。
特にぬるま湯に浸かることで血行が促進され、ストレスが軽減されます。
入浴はリラックス効果が高く、心身の疲れを癒す良い機会です。
お風呂に長く入る時間の確保が難しい場合は、入浴剤を使ったり、アロマオイルを垂らしたりして、リラックスできる環境を作り出しましょう。

 

趣味を行う

自分の好きなことや趣味を持つことでストレスを軽減し、リラックスする時間を作りましょう。
趣味に没頭することは自律神経を整えやすく、精神的なストレスを和らげる効果があります。
特にアートや音楽、読書などのクリエイティブな活動は心の平穏を保つのに効果的です。

 

腹式呼吸を行う

腹式呼吸はリラックス効果が高く、自律神経を整えるのに役立ちます。
深い呼吸を行うと副交感神経が優位となるため、心拍数が下がってストレスが軽減され、より良い睡眠が得られやすくなります。
腹式呼吸のやり方は以下の通りです。

楽な姿勢で座るまたは横になるリラックスできる姿勢をとります。
鼻からゆっくり息を吸うお腹が膨らむことを意識しながら、ゆっくりと息を吸い込みます。
口からゆっくり息を吐くお腹がへこむことを意識しながら、ゆっくりと息を吐き出します。

この呼吸法を数回繰り返すことで、心が落ち着き、リラックスできます。

 

睡眠薬と便秘薬は併用することができる?

睡眠薬と便秘薬
睡眠薬と便秘薬を併用する際には、必ず医師に相談しましょう。
特に、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は腸の運動を抑制する作用があるため、便秘が悪化する可能性があります。
また、便秘薬を使用することで、腸が刺激されることがありますが、睡眠薬と同時に使用することで副作用が強まることも考えられます。
 
また、両薬とも依存症に陥る危険性もあります。
安易に薬だけに頼るのではなく、便秘、不眠の根本原因を改善することが重要です。
そして、併用する場合は医師の指導のもとで行うことが望ましいです。

 

生活習慣を変えれば便秘は治るのか?

生活習慣の改善は便秘解消に非常に効果的です。
食事の見直しや適度な運動、ストレス管理を行うことで腸内環境が整い、便秘が改善されることが期待できます。
具体的な生活習慣の改善策は以下の通りです。

規則正しい生活を心がける毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事をとることで、体内リズムを整えることができます
水分をしっかり摂取する水分不足は便秘を悪化させるため、十分な水分を摂取することが大切です。特に朝起きたときにコップ1杯の水を飲むことが推奨されます
食事はバランスよく摂る食物繊維を豊富に含む食事を心がけ、規則正しい食事を摂ることが大切です。特に、野菜や果物、海藻、キノコ、全粒穀物を意識して摂取しましょう
ストレスをため込まない定期的にリラックスできる時間を設け、ストレスをため込まないように心がけましょう

趣味の時間や散歩など、リフレッシュできる活動を取り入れると良いでしょう。

 

まとめ

睡眠薬には腸の働きを抑えて便秘を引き起こすことがあります。
そして、便秘と不眠は密接に関連しており、便秘が原因で不眠を引き起こす場合もあります。
そのため、睡眠薬と便秘薬を併用することで両者を同時に改善することができる可能性がありますが、安易に薬に頼るのではなく、それぞれの根本原因を改善することが重要です。
 
また、睡眠薬や便秘薬を使用する際は、依存性や副作用の観点から医師に相談し、正しい方法で利用しましょう。
生活習慣の見直しを行って心身の健康を維持することが、より質の高い生活を送るための鍵となります。

 

監修者情報

石田清隆先生

  • 医師

    石田 清隆

  • 所属・資格等

    広島ステーションクリニック 理事長

  • 経歴

    肝臓学の専門医で、広島ステーションクリニック理事長。
    長年、基幹病院の一線でウイルス性肝炎、肝細胞がんの診療を行い、ウイルス性肝炎の経口剤治療、肝細胞がんのラジオ波焼灼療法やカテーテル治療の経験が多数ある。
    現在は、画像診断、栄養解析データをベースに脂肪肝、糖尿病などの生活習慣病に対して徹底的な栄養、運動指導を行い、薬に頼らない治療を目指している。
    2023年1月にアンチエイジングセンター「Milky Cloud Well-being Center」を開設。
    著書に「人生を好転させる2‐week鉄活」(幻冬舎)がある。
     
    石田先生のクリニックはこちら→広島ステーションクリニック